【大阪・関西万博】[21]サンパウロの建築学生がブラジル館を訪問—展示テーマに感じた「未来へのヒント」とは


2025年大阪・関西万博のブラジル館を、ブラジル・サンパウロから来日した建築学生たちが訪問。
展示の背後にある思想やビジュアル表現に触れ、ヒューマニズムと持続可能性というテーマに深く心を動かされたようだ。

建築を学ぶ若者たちが万博を通じて見た「地球の未来」

7月12日、EXPO 2025大阪・関西万博のブラジル館に、ブラジル・サンパウロの建築都市学部「Escola da Cidade(エスコーラ・ダ・シダーデ)」の学生25名と教員4名が来館した。
訪問は、同学部が展開する学術文化プロジェクト「Estúdio Deriva 2025」の一環で、東京や京都、横浜、大阪など複数都市を巡る日本訪問のなかで実現した。

学生たちを迎えたのは、ブラジル館館長のパブロ・リラ氏とリエゾン担当のアントニオ・カルロス・フェレイラ氏。
リラ氏は、同館の展示が舞台美術家であり演出家のビア・レッサ氏によってデザインされていることを紹介。
「展示は、演劇的なアプローチで構成され、5つの“シーン”を通して来場者に問いを投げかけています」と語った。

一方、フェレイラ氏は万博の意義に触れ、「これまでの万博では、エレベーターや電話など、今では当たり前となった発明が世界に紹介されてきました。今回の万博では、より良い社会への提案がテーマとなっています」と学生たちに伝えた。

人類の未来のために、今こそ立ち止まって考えるとき

訪問に同行したシュンジ・イワミズ教授は、展示を見た感想として次のように語った。

「これほど複雑で不安定な時代に、未来の可能性を示唆する展示を学生とともに見られたことに感謝します。ブラジル館は、我々がより良い世界を目指すためのビジョンを提示してくれました」

学生のベアトリス・テイシェイラさんは
「すべての人にこの場所を訪れてほしい。本当に素晴らしい体験でした。今こそ私たちは立ち止まり、世界が直面している問題について深く考える時です」と話し、展示のメッセージが心に響いた様子を見せた。

もう一人の学生、カトリーヌ・フォン・ウーレンドルフさんは、「この場所には、多くの人が一つの重要なテーマに向き合う意志をもって集まっている。今、私たちは緊急性の高い課題に向き合うべき時代にいるのだと実感しました」と語った。

テクノロジーからヒューマニズムへ——万博の進化とブラジルの役割

かつて「未来のテクノロジーの見本市」とも称された万博は、いま、より人間中心で持続可能な社会のビジョンを描く場へと進化している。
その変化に呼応するように、ブラジル館の展示では「地球とともに生きる未来」が強調されている。
フェレイラ氏はこう語る。

「私たちブラジルも、豊かな生態系を育むアマゾンだけでなく、クリーンエネルギーの生産国として世界から注目されています。ビア・レッサ氏の演出には、全員がこの地球の保護に関わってほしいという強いメッセージが込められています」

ブラジル館で「未来の社会の可能性」に出会う

今回の訪問は、「Estúdio Deriva」プロジェクトによる2度目の日本滞在となる。
都市と社会の関係を考える学生たちにとって、万博での学びは、世界と自分自身との関わりを見直す大きな契機となったようだ。

Expo 2025 Osaka・ブラジルパビリオンで、未来への“出会い”と“気づき”がきっと見つかるだろう。

会場:夢洲・ブラジルパビリオン

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