【映画】声なき叫びが世界を動かした─アカデミー賞受賞作『アイム・スティル・ヒア』8月8日公開
1970年代のブラジル。軍事独裁政権下で自由が奪われた時代に、ひとりの女性が静かに、しかし力強く立ち上がった。
その実話をもとにした映画『アイム・スティル・ヒア(原題:AINDA ESTOU AQUI)』が、ついに8月8日(金)から日本公開される。
監督は『セントラル・ステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』で世界を魅了した名匠ウォルター・サレス。
第97回アカデミー賞では、ブラジル映画として初めて国際長編映画賞を受賞し、主演女優賞、作品賞にもノミネート。
まさに歴史に刻まれる一本となった。
⾒えない恐怖を“⾳”で描く。
映画の舞台は、軍に連行された夫の行方を追い続ける女性エウニセ(フェルナンダ・トーレス)の姿。
抑圧と沈黙の中、彼女は夫の名を呼び続ける。
注目すべきは、暴力や拷問を「見せない」演出手法。
原作者マルセロ・ルーベンス・パイヴァが「父の失踪を描くにあたって、拷問を映してほしくない」と強く願ったことを受け、監督は“音”によってその存在を浮き彫りにする道を選んだそうだ。
20以上もの音のレイヤーが重なり合い、観る者の想像力に訴えかける。
叫び声、扉の軋み、足音…そのすべてが、暗闇の中にある見えない恐怖を鮮烈に伝えてくる。
「見せないものが、しばしば最も強い印象を残す」と語るサレス監督の信念は、観る者の深層に響き渡る。
歴史のなかに埋もれた“声なき物語”を、いま私たちは聞く
「なぜ観るべきか?記憶は奪われるからだ」─New York Timesがそう評した本作は、ただ過去を語るだけの作品ではない。
今も世界のどこかで声を奪われている人たちのために、いま語られるべき物語である。
「この映画を形にする七年間のあいだに、ブラジル社会は再び暗い影に覆われようとしていた。
同じ過ちを繰り返さないために、今、私はこの作品を届けたい」―サレス監督のこの言葉に、作品の切実さがにじむ。
【CAST&STAFF】
8月8日(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
『アイム・スティル・ヒア』
監督:ウォルター・サレス
脚本:ムリロ・ハウザー、エイトール・ロレガ
出演:フェルナンダ・トーレス、セルトン・メロ、フェルナンダ・モンテネグロ
音楽:ウォーレン・エリス|撮影:アドリアン・テイジド|2024年|ブラジル、フランス|ポルトガル語||137分|カラー|ビスタ||5.1ch|原題:AINDA ESTOU AQUI|英題:I’M STILL HERE|字幕翻訳:原田りえ|レイティング:PG12
提供:クロックワークス、プルーク 配給:クロックワークス
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公式H P:https://klockworx.com/movies/imstillhere/
