【大阪・関西万博】[18]「より良い世界を求めるマニフェスト」──ブラジル館『記録』出版記念イベント開催

舞台美術家ビア・レッサ氏、ブラジル貿易投資振興庁(ApexBrasil)ジョルジェ・ヴィアナ長官

2025年大阪・関西万博のブラジル館にて、展示の芸術的指針を担った舞台美術家ビア・レッサによる電子書籍『記録(Registro)』の出版記念イベントが、同館で開催された。
レッサは本書を「より良い世界を求めるマニフェスト」と位置づけ、「展示作品の背景にある思想や資料を広く共有したい」と語った。

『記録』は173ページにわたり、展示に込められたメッセージを多角的に紐解くアーカイブ作品であり、ブラジル館のカタログ的役割を果たしている。
書籍は2部構成。第1部には展示企画や構成コンセプト、プロジェクトの資料などが整理され
第2部では文学作品の引用、学術論文の抜粋、映画やジャーナリズムの画像、美術作品など、
展示に影響を与えた様々な文化的断片が収録されている。

イベントには、ブラジル貿易投資振興庁(ApexBrasil)のジョルジェ・ヴィアナ長官も出席。
ヴィアナ氏は、レッサが2000年のハノーバー万博でもブラジル館の監修を担ったことに触れた上で、
「『記録』はブラジルの課題と希望を凝縮し、再び世界に向けて発信する作品だ」と賞賛した。

万博会場のブラジル館では、自然と人間を象徴する約70体のインフレータブル(空気で膨らむ造形物)が展示棟を彩っている。
ヴィアナ長官は「展示の一幕では、死を象徴するインフレータブルが、再生を経て希望と生命を表現する」と語り、「万博は戦争を経験した国で開催されています。私は広島を訪れ、改めて平和とは殺戮ではなく、創造と再生から生まれると実感しました」と強調した。

ビア・レッサは『記録』のなかで次のように述べている。

「ブラジルは、人類が直面する課題の大部分を抱える『類まれな実験室』です。いまこそ、ブラジルの使命を深く、そして緊急に考えるときです」

本書の制作には、詩人カルリット・アゼヴェド、哲学者フェリペ・スセキンド、建築家フローラ・スセキンド、科学者ルイス・アルベルト・オリヴェイラ、社会学者ルイス・エドゥアード・ソアレスらが協力し、編集総括をマリア・ボルバが担当した。

電子書籍『記録』は、ブラジル館内のQRコードまたは下記リンクから、ポルトガル語・英語・日本語の3言語で閲覧可能。印刷版も近日中に刊行予定だという。

🔗 閲覧はこちらから:
https://linktr.ee/brazilpavilionexpo25

※Photo:舞台美術家ビア・レッサ氏、ブラジル貿易投資振興庁(ApexBrasil)ジョルジェ・ヴィアナ長官

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