2/13(金)まで【レセプションに潜入】期間限定で立ち上がった「サンパウロのいま」を感じるアート空間
今、もっともサンパウロのアートの息遣いを感じられる空間が、期間限定で開かれている。
レセプションという公の場でありながら、そこに流れていたのは驚くほど開放的で、自由な空気だった。
視線を遮るものは少なく、作品と人、そして空間が緩やかに溶け合っている。
「展示を見る」というよりも、「場に身を置く」そんな感覚が自然と立ち上がってくる。
サンパウロ・ビエンナーレという時代の鏡

サンパウロ・ビエンナーレは1951年、まさにブラジルが新しい国のかたちを模索し始めた時代に産声を上げた。
以降、政治、社会、文化の変化と常に並走しながら、この国の「民意」や「時代の温度」を映し出してきた存在だ。
会場では、その歴史を象徴する36点の公式ポスターが一堂に展示されている。
色彩、構図、メッセージ、どれもがブラジルの歴史と熱量をそのまま封じ込めたような佇まいだ。
略歴とともに振り返ることで、激動の三四半世紀を、アートという立体的な視点から体感することができる。
リディア・リスボア、身体が生む、やさしい空間美

レセプションの空気をひときわ柔らかく包んでいたのが、リディア・リスボア(Lidia Lisbôa)さんの存在だ。
彼女の作品は、身にまとうことで初めて完成する。
動きによって生まれる空間美、そこはかとない愛らしさ。
公的な場であるはずのレセプションに、温かな私的感覚をもたらしていた。
セッションで語られた制作の話も印象深い。
彼女の作品は、常にイメージとともに編み出されるという。
その根底にあるのは、彼女自身の記憶に刻まれた体験だ。
体験がかたちとなり、完成後に「名前」が与えられる。
それは、見る側と共有するための“矢印”なのだと彼女は語る。
その場にいるだけで、自然と彼女の世界の一部になってしまう。
そんな不思議な引力を持った時間だった。

ギレルメ・ガフィの設計図から生まれた立体作品

Guilherme Gafi(ギレルメ・ガフィ)の設計図をもとに制作された立体作品も展示されている。
実際に制作を担った東京造形大学 博士課程の石田恒平さんは、
「祖父が残した木を、ようやく使えるタイミングが来て嬉しい」と語る。
無機物と植物、思い出のアイテムと廃材、硬質な素材と柔らかな質感。
相反する素材と意志が、設計者と再現者、それぞれの思いを載せながらひとつの作品へと結実している。

アートの入り口としてのストリートアート

限られたスペースには、12組のストリートアーティストの活動紹介が並ぶ。
各アーティストにはSNSへのリンクも添えられており、展示をきっかけに、さらに深くその表現世界へと踏み込むことができる。
ここはまさに、アートへの入り口だ。
本を通して触れる、ブラジルのアート

会場には、ブラジルのアートに関する書籍をその場で手に取れるコーナーも設けられている。
平置きされた色とりどりのアートブック。
日本ではなかなか出会えない作品集や資料が、所狭しと並ぶ光景は、それだけでひとつの展示のようだ。
地球の反対側の表現に、気軽に触れるということ
日常生活を送っているだけでは、なかなか出会えないアート。
地球の反対側で生まれた表現に、これほど自然な距離感で触れられる機会はそう多くない。
この空間は、ブラジルのアートを知る前に、感じるための貴重な入り口だ。
ぜひ、体験してほしい。
イベント詳細
「Confluence Tokyo São Paulo」
国際的なアートの伝統と都市のエネルギーが交差する「合流点」として、サンパウロの創
造性が東京で響き合う瞬間。
関連イベントの詳細は、JBAC公式インスタグラム(@japanbrazilartcenter)をチェック!
会期:2026年1月16日(金)–2月13日(金)
会場:駐日ブラジル大使館
主催:JBAC ジャパン・ブラジル・アートセンター
助成:駐日ブラジル大使館/ギマランイス・ホーザ文化院
協力:サンパウロ・ビエンナーレ財団
協賛:株式会社大五商会、株式会社コムブレインズ、株式会社アルファインテル

