ブラジル音楽界の偉才ジョアン・ドナートに捧げるシングル「Lugar Comum (ルガール・コムン)」をリリースレイラ・ピニェイロとヒカルド・バセラール
Contents
9月27日リリース予定のジョアン・ドナートへのオマージュとして制作されたアルバムに先行してシングルは各種プラットフォームで8月23日に配信開始
Lugar Comum (ルガール・コムン)とは
「Lugar Comum (ルガール・コムン)」は、歌手のレイラ・ピニェイロ(Leila Pinheiro)とマルチプレーヤーのヒカルド・バセラール(Ricardo Bacelar)がタッグを組んで制作したブラジル音楽界の偉才ジョアン・ドナート(João Donato)のカバーアルバムからのファーストシングルのこと。
アルバムのレコーディングには、今年8月17日に生誕90年を迎えたドナート自身の参加も予定されていたが、2023年に他界したためその計画は実現しなかった。
8月23日に配信開始となったシングル「ルガール・コムン」(Jasmin Music)は、ドナートの作品を新たにアコースティックバージョンで蘇らせたアルバムのコンセプトを表している。同アルバムのレコーディングはセアラ州フォルタレーザにあるジャスミン・スタジオで行われた。ボサノヴァの先駆者の一人であるドナートは、ブラジル音楽の海外での人気に大きく貢献した。
「ルガール・コムン」のヴォーカルとピアノのアレンジは、ドナートのメロディとジルベルト・ジル(Gilberto Gil)の詩的な歌詞を引き立てている。バセラールは「最初にレコーディングしたこの曲でアルバムの美学が打ち立てられました。ヴォーカルとピアノだけの一発録りで3テイク録ったのですが、レイラの歌はとても力強く感動的でした」と話す。そのレイラに作曲家ジョアン・ドナートの音楽に深く潜り込む作業への参加を呼びかけたのもバセラールだった。
レイラは「ドナートの作品をアレンジやコンセプトの面で「解体」していくようにアプローチすることは、私にとって大きな挑戦でしたが、楽曲を見てそれぞれの曲の世界に体当たりで飛び込んでいきました。多くの曲は文字通り裏返すような作業となりましたが、ドナートもきっと気に入ってくれただろうと思います」と語る。
レイラとバセラールは、最終的に「A Rã (ア・ハン)」、「Verbos do amor (ヴェルボス・ド・アモール)」「Naturalmente (ナトゥラウメンチ)」、「Flor de Maracujá (フロール・ジ・マラクジャ)」を含む計12曲を選曲。9月末に配信開始予定のアルバム「Donato (ドナート)」には、ジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum)もアレンジャー、チェリストとして参加した。
今回のアルバムの前にも、レイラとバセラールはジャスミン・ミュージックからリリースされた2作品で共演している。2023年のアルバム「Nós e o Mar (ノス・イ・オ・マール)」では、レイラはボサノヴァ界の重鎮ロベルト・メネスカル(Roberto Menescal)の誘いを受け、メネスカル本人とヒカルド・バセラール、ヂオゴ・モンゾ(Diogo Monzo)とともに「Bye Bye Brasil (バイ・バイ・ブラジル)」(作詞・作曲ロベルトメネスカル、シコ・ブアルケ)をレコーディングした。さらに同年の年末には、ドナート作品を集めたアルバム制作に向けた準備を進める中でレイラがバセラールに紹介したという曲「Semente da Maré (セメンチ・ダ・マレ)」(Guilherme Arantes/ギリェールメ・アランチス作詞作曲)をシングルとしてリリースしている。
アーティストプロフィール
ヒカルド・バセラールはピアニスト、作曲家、音楽プロデューサーで、自身のレーベルであるジャスミンミュージックを立ち上げ、現在ブラジル国内で最も重要なレコーディングスタジオのオーナーでもある。リオデジャネイロの人気グループ、ハノイ・ハノイのメンバーとして長年活躍。ソロアーティストとしては、ベルキオール、イヴァン・リンス、ジルベルト・ジル、ファグネル、ロベルト・メネスカル、フラヴィオ・ヴェントゥリーニ、エヂナルド、アメリーニャといった大物ミュージシャンたちとレコーディングしている。また米国のジャズ専門ラジオ局で最も頻繁にオンエアされたアーティストの一人に入ったことが2度ある。ヨーロッパや日本でもツアーを行っており、2024年には東京ブルーノート・プレイス公演を含む8公演の日本ツアーを開催した。
MPBやサンバ、ボサノヴァの歌手であり、ピアニスト、作曲家としても活躍するレイラ・ピニェイロは、44年のキャリアを持つ。ロベルト・メネスカルがプロデュースしたアルバム「Bênção Bossa Nova (ベンサン・ボサ・ノヴァ)」の記録的ヒットでボサノヴァアーティストとしての名声を確立。これまでに多くの賞を獲得しており、来日公演も行っている。
アントニオ・カルロス・ジョビン(Tom Jobim)、ジョアン・ドナート、イヴァン・リンス(Ivan Lins)らブラジル音楽を代表するアーティストとも共演。代表曲はジョビン作曲の「Espelho das Águas (エスぺーリョ・ダス・アグアス)」、フラヴィオ・ヴェントゥリーニ(Flávio Venturini)とムリロ・アントゥーニス(Murilo Antunes)作曲の「Besame (ベサメ)」など。ピアノは10歳から演奏している。