サウロ・フェスナンデス(Saulo Fernandes)記者会見レポートjapan 2023

今年の浜松ブラジリアン・デー2023は生涯忘れられない最高の思い出になりました。
本当に奇跡が起きました!私がブラジル好きになって30年、まさか!こんな日が来るとは!が正直な気持ちです。

多くの日本人と同じ様にボサノバに魅了されたのがはじまりでした。1993年、小野リサさんのライブに行ったのが最初です。
「ブラジルって、貧しい国だけど、世界で最も幸せなのよ」と、あのおっとりとした口調で言われました。
その言葉がずっと気になっていました。

5年後の1998年、私はリオのイパネマ・ビーチにいました。
謎解きが目的です。
ただの観光でも現地の空気を吸えば何かが分かる筈だと。
夜、ビーチにいると誰かが突然大きなラジカセを持ち込みました。
すると爆音で激しいリズム、聴いたことのないカッコイイ音楽が再生され、それに合わせてどんどん人が寄って来ます。
最初は10数人でしたが気が付くと200人近い数になりました。
「これは一体なんなんだ!」その人たちはそのラジカセから流れる音楽に陽気に笑顔で合わせて踊っているじゃないですか!
私がその輪の中に入らない理由はありません。
名前も知らないブラジル人たちと音楽に合わせて一緒に踊っているとその時、「小野リサさんが言っていたのはこれかっ!」と謎が解けた様に思いました。

後でその時に流れていた音楽が「アシェー」と分かりました。
アシェーが好きだと言うと、さまざまな人から「バイーアだね」、「サルバドール!」、「カーニバルに行かないと!」と言われました。

12年後の2010年、私はブラジル最初の首都で歴史的にも大きな意味があるバイーア州サルバドール市に日本から40時間かけて到着していました。
目的はもちろんカーニバルです10日間も夜通しで200万人の人たちが音楽に合わせて一斉に踊り狂うお祭りです。
食べ物が合わなかったのか3日間寝込んでしまいましたが、その時の想い出は生涯最高なものとなりました。

そのアシェーのスーパースターのひとりである「サウロが、浜松にやって来るよ!」と聞きました。
あの強烈なサルバドールでのカーニバル体験から13年を経て2023年にサウロ・フェルナンデスが!?
元バンダ・エヴァの!?
日本で観れるの!?
極めて信じられない話です。
ブラジルでは恐らく十数万人近い観客の前でコンサートをする超大物歌手ですから。
私の想像ですが、彼の奥様が実は日系人だったというのもサウロが来日してくれる理由のひとつだったのかも知れません。

そしてブラジリアン・デー当日の2023年9月17日午前、サウロに遂に会うことが出来ました!記者会見に出席したのです。
「私は日本人です。ポルトガル語はわかりません。すみません。」
と片言のポルトガル語で喋った後は、会場の親切な日系ブラジル人の女性が通訳してくれました。
まずは自分のサルバドールでの感動の経験を伝え、「今日のイベントがあることに、とても幸せを感じ感謝しています。ムイト・ムイト・オブリガード!!」と話しました。

サウロはもう途中から涙目になっていました。
「今の話を聞けてとても感謝しています。信じられないです。僕はバイーアの田舎町のバヘイラス出身で、ここからとても遠いところにあります。日本でこんな話が聞けるなんて感謝しかありません」と言われたそうです。

サウロは立ち上がって私に近寄り、泣きながら私を強く1分間近くハグ、そして何回もキスされました。
日本人もあまりしない90度のお辞儀もやってくれました。
私は驚きながらこの30年間のこと、115年前に神戸から移民の方々がブラジルへ向かったこと、ブラジルで壮絶な人生を生き、願い叶わず帰国出来なかった人たち。
ただただ一生懸命に働きブラジルでの信用を築き上げた日系人家族と子どもたち。
コーヒー豆を無償で送ってくれたブラジル人、そして家族のためにデカセギとして日本で懸命に働く日系ブラジル人家族とその子どもたち。
最も遠くて最も近いブラジルと日本。
互いは異なるけれどそれぞれに持った歴史、文化、運命….。
サウロに抱きしめられている、そのたった1分がとても長く感じつつ、頭の中は走馬燈の様に記憶が巡りました。

私とサウロは会ったことのない者同士ですが、目には見えない強烈なエネルギーが働いて時空を越えて、まるで100年来、会えなかった旧友の様に泣きながらお互いを強く抱きしめ、お辞儀をして手を合わせました。
2人の泣きながらのハグ写真は、サウロが自身のインスタにアップ、日系ブラジル人のメディア、現地バイーアのメディアでもニュースになりまた。

夜のサウロのライブでは、お陰様で最前列で観ることができ、最後は彼に呼ばれてステージに上がりました。
彼は何度も何度も抱きしめてくれ、「モリ!モリ!チ・アモモー!モリ!モリ!チ・アモー!」と叫んでくれました。

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