【解説】ゼカ・パゴジーニョ(ZECA PAGODINHO)って?

本場のサンバがEXPO 2025に登場一ゼカ・パゴジーニョが6/21(土)、大阪でブラジルの魂を響かせる

彼の歌詞には、「油断すると負ける」を意味する「Camarao que dorme aonda leva(うたた寝するエビは波にさらわれる)」のような、ユーモアに富んだ民衆がよく知るフレーズが多く登場する。
彼はまさに「ブラジル人の魂」を体現する存在で、どんな困難な状況でも笑顔を忘れず、常に歌い続けて人生の明るい面を讃えてきた。

Camarao que dorme aonda leva
(うたた寝するエビは波にさらわれる)

そんなゼカ・パゴジーニョがついに日本初来日を果たす。
初公演を行うのは、6月21日に開催されるEXPO 2025大阪・関西万博「ブラジルナショナルデー」。

この公演は、ブラジル館の文化プログラムを企画するブラジル貿易投資振興庁(ApexBrasil)の主催で、EXPOアリーナ「Matsuri」にて午後5時から開催。

ゼカ・パゴジーニョは1960年代、サンバの首都とも言われるリオデジャネイロ州で生まれ育ち青空市場の商人や露天商、オフィス・ボーイなど、さまざまな仕事を経験した。

1980年代からサンビスタ(サンバ歌手)としての活動を始め、当時は有名サンバ歌手のベッチ・カルヴァーリョや、人気グループ「フンド・ヂ・キンタール」のために楽曲を提供。

ベッチ・カルヴァーリョと若かりし頃のゼカ・パゴジーニョが歌ったオリジナルバージョン
Camarao que dorme aonda leva
(うたた寝するエビは波にさらわれる)

ゼカの曲は、デビュー当初からブラジル国民の日常生活の一部となるほど人気となった。
彼の歌詞には、恋愛、労働者の暮らし、都市郊外の生活といったテーマが、繊細かつ軽やかに描かれているところに人々は共感した。

国民は彼の曲を熱狂的に受け入れ、デビュー直後から彼のレコードはミリオンセラーを記録。

キャリアのハイライトの一つは、2002年に「Deixa a vida me levar」でラテン・グラミー賞最優秀サンバ・アルバム賞を受賞したことだ。
表題曲のサビのフレーズ「Deixa a vida me levar」では、人生の流れを信頼し、最後には物事がうまくいくと信じる姿勢を示唆している。
問題から切り離し、運命を信頼するというこの表現は、より軽やかに、より不安なく生きれるよう誘っている。

この曲は、2002FIFAワールドカップで優勝したブラジル代表チームの監督を務めたフェリポン(Luiz Felipe Scolari)が、ブラジル代表選手たちを鼓舞するために引用したことでも知られており、その関連でEAのゲーム「FIFA 2004」にもゼカのこの音源が収録されており、どこかのタイミングで聞いたことのある人も多いだろう。

そしてもう一つは、2010年、自身をサンバの世界へと導いてくれたベッチ・カルヴァーリョに捧げた「ヴィーダ・ダ・ミーニャ・ヴィーダ」のリリースである。

ゼカ・パゴジーニョは、単なる歌手にとどまらず、抵抗の精神と人々を魅了する力をあわせ持つ、ブラジルのポップカルチャーを体現する存在といえるだろう。

オフィシャルサイト: https://zecapagodinho.com.br/

公式インスタ: https://www.instagram.com/zecapagodinho/?hl=ja

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