【第2回】憧れのブラジル航路
昭和時代に日本でリリースされたブラジル音楽のレコードあれこれ
第2回 ハニムーン・イン・リオ
アーティスト: カロリナ・カルドソ・デ・メネセス、オルランド・シルヴェイラ
原題:Honeymoon in Rio
発売会社:東京芝浦電気株式会社
レーベル:ANGEL RECORD
品番:MW 8
録音年:1956年
発売年:不明(1957~1959年頃?)
価格:1800円
昭和30年(1955年)に世界の東芝が洋楽専門レーベルとして立ち上げたエンジェル・レコード。
当初はクラッシック中心にリリースしていたレーベルのようですが、「世界の音楽シリーズ」という企画作の第8弾でブラジル篇をリリースしていました!
アルバム・タイトルは「ハニムーン・リオ」。
ジャケット写真はフラメンゴ海岸からポン・ヂ・アスーカルを見つめる新婚カップルですね。
本作の原盤キャピトルはアメリカ合衆国のレーベル。
新婚旅行にリオ・デ・ジャネイロを選ぶのは戦後のアメリカ人のトレンドだったようです。
一方、日本人の新婚旅行のメッカは熱海や伊東、遠くても宮崎と国内旅行が主流でした。
アルバムに収録されたのは20世紀を代表する女流ピアニストのカロリナ・カルドソ・デ・メネセス(表記はアルバム記載通り)と、アコーディオン奏者でバイオン・オーケストラを率いていたというオルランド・シルヴェイラ。
カロリナがサンバ、オルランドがバイアォン担当で、二人の演奏が交互に収録されています。
バイアォンはボサノヴァ以前に世界中で大流行したリズムですね。
裏ジャケットの解説にも「ブラジルといえばサンバとバイオンを思い出すほど」と記載されています。
「バイアォン」ではなく「バイオン」表記がよいですね。
「白い羽根」、「あなたと共に何処までも」と、邦題のセンスも素敵です。
「キ・ネン・ジロー」が「ナム・ジローさんて何という人」という邦題になったのは単に誤訳か、それとも超訳でしょうか…?
ちなみにジャケット裏にある「TOKYO SHIBAURA ELECTRIC CO, LTD.」表記は1957年~1959年末頃に使用されていた様です。
日本では戦後、マンボやチャチャチャ、ルンバといった世界から伝来したリズムがベースになったリズム歌謡というジャンルが大流行しましたが、サンバやバイアォンなどのブラジルのリズムも当時リアルタイムで紹介されていたのは大変興味深いです
